経済金融情報
税制
個人所得税、連邦消費税、州消費税など。
主な連邦税・税制としては下記がある。
1. 移転価格税制
親子会社間のように、同一の利害関係人により直接・間接に支配されている関連企業間の取引に関し、その価格の操作により課税所得の調整を行う場合、それは「移転価格」とされ、税務当局が適当な取引価格に修正したうえで、追加課税を行う。
2. 過少資本
在米子会社の負債対資本比率が1.5対1.0超であり、かつ外国親会社から融資を受けている場合、そのネット金利費用(支払金利から受取金利を控除した額)が、当該年度の調整課税所得の50%および前年度繰越超過制限余裕額(調整課税所得額の50%から、ネット金利費用を差し引いた額。3年を限度として繰越可能)を超過する部分を損金算入することを認めない。
3. 自然環境税
法人は、その修正AMT課税所得が、200万ドルを超過する場合、その超過額の0.12%に相当する自然環境税を課税される。
4. 留保利益税
株主段階での課税を避けるために、法人が配当を行わずに利益を留保することに対するペナルティとして課せられる税。留保課税所得に対する税率は20%。課税回避目的の有無については主観的判断となるが、利益留保が妥当範囲かどうかについては、客観基準が設けられている。
5. 予定納税
当年度の税額の合計予測額が500ドルを超える場合、米国内法人および外国法人は、確定申告書の提出を待たず、予定納税額を、課税年度の開始から4、6、9、12ヵ月目の15日までに納付しなければならない。
6. 雇用関係税
従業員の雇用に際し、雇用主には、各種の連邦雇用関係税が課税される。雇用主は、従業員に対する給与・俸給から、所得税相当額を源泉徴収し、定期的に連邦政府に納入する。その他、社会保障税および失業保険税も課税される。
7. 間接税
最も典型的な間接税は「sales tax」と呼ばれる消費税。消費税に介入する権限は連邦政府にはなく、消費税は、州政府や郡政府、または地方自治体の管轄となる。全米に1万弱とも言われる消費税区分があり、課税対象の商品や税率は文字通り千差万別となっているため、消費税の仕組みや税率を一概に説明することは不可能に近い。
ただ、一般的には、生鮮食料品や処方薬には無課税もしくはかなり低い税率が適用され、加工されている商品にはすべて課税される。州消費税の幅は0%〜7%で、地方自治体のそれも0%〜7%。同じ州の中でも自治体によって税率が異なる。大部分の州で両方の消費税があるが、中には、州消費税が0%で地方消費税が5%のところもあれば、その逆のところもある。
各州や自治体の消費税率を全般的に見渡すと、州消費税が4%〜6%、地方消費税が2%〜4%で、合計6%〜10%が最も普及している税率と言える。特殊な例では、オレゴン州には消費税が一切ない。アラスカ州では、州消費税は0%だが、地方消費税が最高で7%。
消費税率は比較的頻繁に変わるため、それらのウェブサイトに記載されている税率と実際の税率が異なる場合があるが、仮に変更されているとしてもその差は1%以内の場合がほとんど。
各州および自治体の消費税率一覧
食品と薬品の消費税の有無または税率一覧
8. 家賃収入に対する課税
家賃収入(賃貸所得)がある場合、不動産物件の所有者の国籍、あるいは個人か法人かにかかわらず、連邦と州の税金がかかる。連邦税では、課税方式に「ネット・レント課税方式」というものがあり、それを選択する場合と選択しない場合で、納税方法や額が異なってくる。
ネット・レント課税方式を選択しない場合は、源泉徴収課税方式が適用されることから、入居者が家賃の30%を源泉徴収税として連邦税を納税することになる。一方、ネット・レント課税方式を選択した場合は、毎年確定申告する義務が発生する。確定申告では、家賃収入から、固定資産税や支払利子をはじめ、修理費、管理費、維持費、改修費、保険料、仲介手数料、減価償却費といった経費を控除してネット・レント純利益(不動産賃貸所得)を報告し、通常の連邦税率(個人なら10%〜35%、法人なら15%〜35%)に基づいて納税する。経費控除後に赤字になれば税金は発生せず、損失分は後の不動産所得との損益通算や不動産売却益(譲渡益)と相殺できる。
州税では、各州の税制が大きく異なるため、それぞれの州の税法に準拠して納税する義務がある。
9. 不動産譲渡税
米国で個人が不動産(個人向け住宅)を売却することで生じる売却益(または譲渡益)には、売り手の国籍にかかわらず連邦の所得税がかかる。不動産売却益にはほとんどの場合、州政府や地方自治体の所得税もかかるが、各州、各郡、各市によって税制および税法が異なるため、ここでは連邦税に限定する。
不動産売却益にかかる税金は、原則としてすべての売却にかかるが、当該物件が売り手の「主たる住居」となっている場合には、売却益が独身で25万ドル、夫婦合算で50万ドルまでなら非課税扱いとなる。「主たる住居」の定義は、売却前の5年間のうち2年間において、1)売り手が住宅を所有し、2)その住宅を住まいとして使っていた、という二つの条件を満たす住居のこと。また、この場合の売却益とはキャピタル・ゲイン(購入費や売却費用、改築費を売値から差し引いた後の所得)を指す。
売却益が独身で25万ドル、夫婦合算で50万ドルを超えると、超過分に長期キャピタル・ゲイン税(5%と15%の2段階)が課される。当該物件が「主たる住居」でない場合、つまり、別荘の売却では、既述二つの条件に関係なく、キャピタル・ゲイン税が課される。
当該物件の所有期間が1年以上の場合が長期キャピタル・ゲイン、1年未満が短期となる。個人の長期キャピタル・ゲイン税率は既述の通りで、最高でも15%だが、売り手が法人の場合、通常の連邦税率と同じように最高で35%が適用される。一概には言えないが、納税額の目安については、州税を考慮すると、1年以上所有した住宅を売却した場合、譲渡税は個人の場合で売却益の約20%、法人の場合で約40%かかるとみた方がよい。
売り手が日本に帰国した後に米国内の持ち家を売却すると、売却益の10%が連邦源泉税として徴収される。売却益については、売却した年の確定申告で申告する必要がある。
一方、当該物件を売って売却損が発生したとしても、損失分は一切控除できない。
10. 越境所得税
すべての所得には、当事者の居住地に関係なく連邦所得税がかかるが、州所得税や地方自治体所得税については、それぞれの税制による。ただし、アラスカ、フロリダ、ネバダ、サウス・ダコタ、テキサス、ワシントン、ワイオミングの7州では所得税がない。また、ニューハンプシャーとテキサスの2州では、投資所得(例えばキャピタル・ゲイン)だけが課税対象になっている。
一方、勤務州と居住州が異なる場合の所得税は、当事者本人が「居住者」であるか「非居住者」であるかを州財務省に申告する必要がある。例えば、勤務地がニューヨーク州で居住地がニュージャージー州の場合、勤務地に対しては「非居住者」として給与所得を課税対象所得として申告し、居住州に対しては「居住者」として申告する。その際、居住州には、内国歳入庁(IRS)に申告した所得額を報告し、それと同時に、勤務州で納税した額を「他州税額控除」として申告することで控除を受ける。
また、各州の実効税率が異なることから、勤務州(他州)に払う税金が他州税額控除として居住州に払う税金と全額相殺される場合とされない場合がある。その場合、勤務州で課税されなかった州外源泉所得(利子所得、配当所得、日割計算で非課税扱いとなった給与)に課税され、居住州で納税しなければならない。
11. ビザ・ステータスと所得税
米国にいる外国人の所得税は、当該外国人が「居住者」か「非居住者」かによって課税対象になるか、税金の種類、税率が異なる。また、「居住者」か「非居住者」かはビザの種類によって決まる。
原則的には、「居住者扱い」と「非居住者扱い」、そして「滞在日数で居住者か非居住者が決まる」という三つに識別される。それら三つの区分とそれぞれに識別される各種ビザの種類は下記の通り。
■ 居住者扱い:永住権(グリーンカード)保持者
■ 非居住者扱い:Aビザ(外交官)、Gビザ(国際機関職員)、Fビザ(学生)、Jビザ(交流訪問者)、Mビザ(専門学校生)、Qビザ(文化交流訪問者)。ただ、AビザとGビザの場合、勤務先から受ける給与は非課税ながら、それ以外の所得には課税される
■ 滞在日数で居住者か非居住者かが決まる:Bビザ(短期商用、観光)、Eビザ(貿易商・投資家)、Hビザ(一時的専門職就労者)、Iビザ(報道関係者)、Kビザ(婚約者)、Lビザ(管理職)、Oビザ(特殊技能者)、Pビザ(芸能人、芸術家、スポーツ選手)、Rビザ(宗教関係者)。税法上、下記の二つの条件を満たすと居住者として扱われる。
(1)任意の年(1〜12月)における米国滞在日数が31日を超える。
(2)任意の年の滞在日数と前年の滞在日数の3分の1と前々年の滞在日数の6分の1、それら三つの合計が183日を超える。
出所:アーンスト アンド ヤングLLP編「アメリカ税務ガイドブックQ&A」、中央経済社、平成10年。
「米国への投資」KPMGピート・マーウィック、1991年。

