海外での相続、贈与
海外ロングステイや海外移住のトピックを扱っていると、よく現地で相続や贈与が行われた場合、課税関係はどうなるの?という議論になります。
また、時々、「マレーシアは相続税がないので、相続するならマレーシアがいいよ」なんてセールストーク(?)も聞かれます。
そこで、海外での相続や贈与の課税関係について簡単に記述したいと思います。お断りしておきますが、筆者(暮旅運営者)は税理士ではなく、ファイナンシャルプランナー(CFP)としての知識の範囲内(2007年現在の税制に基いて)での記述なので、真剣に検討している方はこの分野に詳しい税理士に相談することをおすすめします。
相続税非課税のためには、親子とも5年以上海外に
ます相続についてですが、そもそも自分が臨終するタイミングと場所をうまくコントロールできるかという疑問もありますが、可能だとして、上記のマレーシアのセールストークのように、マレーシアで相続すれば簡単に日本国の厳しい納税義務を逃れることができるでしょうか? 結論から言うと不可能ではないが、かなり難しいということになります。
海外での相続の課税原則は以下のとおりです。
相続人(相続を受ける人)が「無制限納税義務者」か「制限納税義務者」により課税の方法が異なります。間単に言うと、前者は、日本に住みかつ日本に生活の本拠がある人で、親の遺産がどこにあっても日本の相続税がかかります。後者は、海外に住んでいて生活の本拠も海外に置く人で、日本に存在する財産だけに日本の相続税がかかり、海外の財産についてはその国の税制が適用されます。
大きな違いです。
なぜなら後者の場合、仮に相続発生時に相続財産がすべて海外(マレーシア)にあれば、相続税は1銭もかからないからです。
ところがそうは問屋がおろしません。
「制限納税義務者」になるには、本人が5年以上海外に住んでいて、かつ相続を行う相続人(親)も5年以上海外に住んでいることが要件なのです。
親も子も海外移住(永住)を決め込んで、長期間日本を脱出していれば、その恩恵にあずかることができるかもしれませんが、相続のためだけに親も子もじっと(?)5年間も海外に滞在するのは、あまりにも犠牲が大きすぎます。しかもいつ発生するかわからない相続のために・・・
贈与も基本的には相続と同じ
上記の課税方法は原則贈与にも当てはまりますので、財産贈与を検討している方も要注意です。
つまり日本の贈与税から逃れるためには、親子とも贈与の直前の5年間は、一度も日本の居住者となってはいけないのです。
なお配偶者への相続に関しては、日本でも最低1億6,000万円までの税額控除があるので、多くの方はご心配無用かと思われます。
以上原則の話なので、当然例外もありえるでしょう。税制も変わるかもしれませんので、注意が必要です。なお、相続税に関しては、世界的に廃止または軽減の方向に向かっているようです。日本は財政事情から考えると、その流れからは取り残されそうですが。

