クアラルンプールでのビザ取得奮闘記
暮旅スタッフがわかばさんに直接取材する機会があったため、本体験談はインタビュー形式で掲載いたしました。
<暮旅> まず今回の滞在の時期、期間、目的などをお聞かせください。
<御主人> 今年(2007年)の3月にクアラルンプールで約1ヶ月のステイをしてきました。 滞在の第一の目的は、マレーシア・マイ・セカンド・ホーム・プログラム(マレーシアの退職者ビザで、一定の条件を満たせば10年間の滞在許可が得られる。 略して「MM2H」) の取得です。
ビザは、昨年日本から自分で申請し、仮承認の通知が来ていたので、現地で1週間もあれば最終取得できるつもりでした。 現地での身体検査と医療保険の加入で、すべて手続きは完了するはずだったので。
それが済んだら3週間をかけてのんびり滞在し、周辺の観光をするつもりでした。
<暮旅> 「つもりだった」ということは?
<御主人> それが、話せば長くなってしますのですが、ビザの取得がすんなりいかず、結果的には3週間も費やしてしまったからなのです。
細かいことは省略しますが、原因の一つは、ビザの財政条件の選択項目で「収入証明」を選んだからだと推測します。
<暮旅> どういう意味でしょうか?
<御主人> ご存知のとおり、私のような55歳以上の者がMM2Hを申請する場合、マレーシアに滞在するための財政的条件として、「マレーシア国内で15万リンギ(約500万円相当)以上の預金をする」(定期預金)、もしくは「月々1万リンギ(約35万円相当)の収入があることの証明をする」(収入証明)のいずれか選択をします。
私の場合、後者の「収入証明」を選択して申請し、すでに仮承認の通知を得ていました。 本来ならばそれで問題ないはずですが、どうやらマレーシア政府としての本音は、「定期預金」の方を歓迎しているようなのです。
後からわかったのですが、私たちのように収入証明でスムーズにビザが取得できた例は、あまりないようなのです。 あくまで推測ですが・・・
<暮旅> 政府が「定期預金を歓迎する」のはいいとしても、ビザ取得の条件としてどちらも公認されているわけですから、収入証明での申請を今さら断ることはできませんよね・・・
<御主人> そうなんです。 正式に断ってきたわけではないのですが、最終的な取得には観光省とイミグレーションの承認が必要なのですが、彼らの作成した書類に不備があったり、2者間の連携が悪かったりで、承認が延び延びになってしまいました。
ちなみに、観光省はクアラルンプール市内にオフィスがあり、イミグレーションは新首都のプトラジャヤで地理的にもかなり離れています。
後から思うと、もしかしたら収入証明での申請時には、意図的に作業を遅らせ、定期預金による申請に誘導する意図があるのかもしれません。なぜなら根拠もないのに、やたらと「定期預金をする必要があります。」と何度も言われたからです。
最後には私も堪忍袋の緒が切れて、「なぜルールどおりに(収入証明で)やって承認されないのか、根拠を明示するよう観光大臣に直訴させてくれ」と、担当者にクレームをつけたほどです。
その後も右翼曲折があったのですが、最終的には3週間かけて、やっと承認してくれました。
何度も通った観光省オフィス
<暮旅> それは大変ご苦労様でした。それでめでたく取得できたわけですね。
<御主人> それが、話はそこで終わらないのです。
ご存知のとおり、MM2Hでは、健康診断による健康証明と医療保険への加入が義務付けられていますよね。 健康診断は簡単にクリアしましたが、医療保険の加入でまた問題が発生しました。
<暮旅> また、新たな問題ですか?(笑)
<御主人> そうなんです。 私の場合、年齢が60歳以上なのですが、原則マレーシアには60歳以上の者が対象の医療保険はないので、どれにも加入ができないのです。
日本人会のMM2Hに詳しいボランティアの方に相談したところ、3つの方法を提案していただきました。 その中のひとつは免除申請を行うというものです。つまり「自分は60歳以上なのでマレーシア国内で加入できる医療保険がないので免除してほしい。その代わりに日本では医療保険に加入しています。」という免除申請のレターを提出するというものでした。
「マレーシア国内の医療保険に入る」ことが条件になっているので、「免除してくれと」というのはそもそもおかしな話です。しかし、それがあっさり通ってしまったのです。しかも、観光省オフィスがわざわざパソコン(ワープロ)を貸してくれたので、その場でタイプして書類を作成しました。
<暮旅> えっ?そんなのが通ってしまうのですか?
<御主人> 全くおかしな話ですね。 それなら最初からルール(義務)にする意味はないですね。 「収入証明」の扱いとは正反対です。 どうなっているのでしょうか?(笑)
<暮旅> 確かにMMH2の条件あるいは解釈はころころ変わる(審査官によっても)とは聞いていましたが、そこまでとは・・・
しかし、申請から取得まで、おまけに難交渉までご自身でやられたわけですから、相当な語学力(英語力)がないと自分で取得するのは難しそうですね?
<御主人> そうですね。 私の場合は運良く、元商社勤務で英語には慣れていたので、難癖をつけられた場合、反論することもクレームすることも出来たわけです。
英語が苦手だったらお手上げでしたね。下手したら、お金をかけて1ヶ月滞在したのに、ビザは取得できなかった可能性もあります。 そしたらマレーシアへ対する「思い入れ」もだいぶ変わっていた可能性がありますね。(笑)
この苦労を考えると、現地のビザ取得代行サービスを利用するほうが確実かもしれませんね。 コストにもよりますが・・・
<暮旅> ずいぶんビザの話で盛り上がって(?)しまいましたが、実際の滞在についてお聞かせください。まず、どんな宿泊施設に泊まられたのですか?
<奥様> 今回は、日本人会の近くにあるセプテ・プルマイ・コンド(Seputeh Permai Condo)に宿泊しました。1ヶ月単位の短期貸しをしているコンドは少ないのですが、たまたま知り合った方から紹介していただきました。
3ベッドルーム、2バスルーム、1ヶ月3,000リンギで、他のサービスアパートなどに比べると割安です。 窓からの森林の眺めはとても綺麗で、心がなごみました。 ただし物件はかなり古く、外見はあまりよくありません。
場所はKTMコミューターのミッドバレー駅から徒歩10分程度で、日本人会にも近く、ロケーション的には悪くありません。ご存知のとおり、ミッドバレー・メガモールには無数のショップがあり、ジャスコも入っているので、買い物にはとても便利な場所です。
<暮旅> それではよく自炊をされたのですか?
<奥様> それが実はあまりしませんでした。(笑)
ご存知のとおりマレーシアは外食が安くおいしいので、自分で料理する気があまりおこりませんでした。 屋台は当然ですが、小奇麗でしゃれたレストランもリーズナブルに食事ができるのでよく行きました。
特にマレーシアでは「トワイライトメニュー」と呼ばれる夕方4時から6時くらいの早い時間帯の割安なメニューが一般なので、よく利用しました。 現地ではかなりの高級レストランでも2人でRM60程度(2,000円程度)で、夕食セット(ソフトドリンク、デザート付き)がとれました。 時間に余裕のある退職者はこういうサービスを利用しない手はないですね。(笑)
ただし、やはり日本食なしではいられないので、日本人会内の和食レストラン「日馬和里」(ひまわり)にはよく出入りしていました。 安くておいしいし・・・
また、ジャスコでご飯のパックとお惣菜だけ買ったり、簡単なお茶付けにしたり、ラーメンを買ったりで、ジャスコが近くにあって何かと重宝しました。
<暮旅> 何かレジャーや観光は楽しまれましたか?
<御主人> 私はもっぱらゴルフ三昧でした。
毎週火曜日にはコンドの日本人居住者のラウンド会があり、木曜には阪本ご夫妻(後に紹介)主導の「ゴルフ木曜会」がありますので。 どちらも車を所有しているかたに同乗させていただき、大変重宝させていただきました。
複数のゴルフ場を利用できる年間のゴルフパスもあるようなので、より長期で滞在する場合は割安だとのことです。 ただしこういったゴルフを中心とした生活では、どうしても日本人同士の付きあいが多くなり過ぎるので、ローカルの方とのお付き合いは、今後の課題ですね。
それからマラッカに日帰りの旅行をしてきました。 情緒あふれる田舎町といった印象でしょうか。 日帰りだったこともあり、マラッカを満喫することはできませんでしたが、それよりバス代の安さには驚きました。クアラルンプールから2~3時間くらいは乗りましたが、一人片道10リンギ(約350円)という安さです。 これからもバスを有効に利用したいですね。 タクシーも日本と比べるとはるかに安いのですが、バスも激安ですね。
<奥様> 私はゴルフはやらないので、もっぱらショッピングでした。といってもブランド品ではありませんが・・・
私はイスラムスタイルのファッションにすごく興味があって、ファッション関係のお店をよく見回りました。 ウィンドショッピングが中心でしたけど。 スカーフの巻き方、結び方なども色々なスタイルがあって、街では女性ひとりひとりをチェックしていました。 スカーフも買ってきたので、是非試してみたいのですが、日本ではなかなか機会がなくて・・・
<暮旅> それでは、次回お会いする時には是非イスラムファッションでいらしてください。(笑) それにしてもすいぶん楽しそうなステイだったようですね。でも期待以下だったり、不満に思うことはありませんでしたか?
<御主人> ビザの件以外でということですね。(笑)
強いて言えば、公衆マナーがあまり良くないことでしょうか。特に電車の乗り降り時のルール、マナーができておらず人々が交錯することがよくありました。また電車の出入り口付近に人が固まって乗車客の邪魔になっていたり、でも中はガラガラだったりで・・・
それからチケットの券売機があるのに、いつも故障しており窓口でしか買えなかったり・・・
タクシーメーターをごまかすドライバーもいますね。 細かいことを言うと色々ありますが・・・
<奥様> それから水が悪いことでしょうか。
洗濯物も白いものが黄色になってしまうほどです。ホテルなどでは充分にろ過されているためか、さほど気になりませんが、普通のコンドなどでは水の悪さが目立ちますね。それがちょっと気になるところかしら。
コンド キッチン ミネラルウォーターが必要
<暮旅> マナーの点ですが、たしかに(一般的には)マナーの良い日本人から見ると、ご不満に思われるかもしれませんね。 ただし、ある意味「日本の常識を捨てる」ことがロングステイでは重要という側面もありますので・・・ そのうちあまり気にならなくなるかもしれませんね・・・(笑)
<御主人>
これは不満ではありませんが、懸念していることがあります。 物価の上昇と為替レートです。
今のところインフレは穏やかなようですが、コンドミニアムの価格や家賃も上昇傾向のようです。 いつか爆発的なインフレが来ないかと心配ですね。
それから為替レートです。 すでにかなりリンギ高となっていますが、これが1リンギ40円以上とかになってくると、いつまでもマレーシアは安いとはいっていられなくなります。
<暮旅> 反対に、期待以上だったり、今回マレーシアをあらたに見直したことはありましたか?
<御主人> (悪徳タクシードライバーは別として、)一般的にはやはり人が親切なことでしょうか。
観光省でのビザ取得の帰り、雨が降ってタクシーが全くつかまらなくなった時に、一般の方が車に乗せてくれたり、ツインタワーのチケットが時間切れで買えなかった時、キャンセルされたチケットをただでもらうことができたり・・・ とても親切な方が多いですね。
実は、昨年の滞在時にもタクシーがつかまらず、ローカルの方の車に乗せていただいたことがありました。でも、こうして地元の方と何らかの接点をもてたことは、とても良い体験だと思います。
<奥様> 私の場合期待以上だったのは、やはりショッピングですね。(笑)
私は靴も大好きなので、良く見に行きました。 とにかく安くて素敵なので、(主人のも合わせて)5足も買ってきてしまいました。 クアラルンプールの良さは、KLCCやミッドバレーなどショッピングセンターがとてもきれいで充実していて、女性でも滞在を楽しめるところではないでしょうか。 私ひとりでもよくショッピングには出かけました。
<暮旅> それでは、最後にロングステイ先としてのマレーシア(クアラルンプール)に点数をつけるとしたら、何点くらいになりますか?とても難しい質問だとは思いますが・・・
<御主人> それですね。 もともと私は、クアラルンプールに移住された阪本恭彦さんの書かれた「ご褒美人生マレーシア」という本を読んで、マレーシア移住に興味をもち、昨年短期の視察旅行をして共感したわけです。
今回ビザの件を含めて色々なことがありましたが、それによって評価が特に下がったというわけではありません。 物価、気候、言葉、医療、人々など総合すれば、依然、合格点をあげられます。 ただし、やはり公衆道徳とかマナーとかの教育にはもっと力をいれて欲しいですね。(笑)
<奥様> 色々ありましたが、私も総合すれば80点くらいはあげてもいいかなと思います。 また行ってみたい街ですね。
<暮旅> 今後のクアラルンプール滞在のご予定は?
<御主人> そうですね。日本の寒い時期に、今度はもう少し長めの期間滞在してみたいですね。 2-3ヶ月間でしょうか。
今のところ移住まで考えていませんが、こういう滞在を繰り返しているうちに、どちらに生活のベースをもったほうがいいか、という問題は必ず浮上してくるのだと、現地の経験者の方からも教えていただきました。
うちもそういう状況になれば、総合判断で移住ということになるのかもしれません。 その時はその時ですね。 MM2Hを取得したのも、将来にわたり滞在期間の柔軟性を確保したいという目的があったので。
<暮旅> そうですね。 また楽しいお話をお聞かせください。 奥様はイスラムファッションで。。。 本日はありがとうございました。
(2007年4月)











