カナデイアン・カルチュアー遊学体験記

投稿者:Kuritan

1. はじめに

カナダと私のそもそものなれ初めは、1999年、カナダとアメリカの違いもわからない中、ロッキー山脈、ナイアガラの滝、メイプルシロップに惹かれてパッケージツアーをしたことに端を発します。

帰途ゲートウエイとして立ち寄ったバンクーバーで、同地に日本人シニア向けのカレッジがあることを知り、2002年夏それに参加しましたが、そのカレッジが2004年廃止され残念に思っていました。

しかしその後、バンクーバーの旅行社トワイライト・トラベラーが「カナデイアン・カルチュアー遊学」という、日本人シニアを対象とした本格的英語学習およびカナダ文化の学習のためのツアーを企画していることを知りました。
旅行社が行う学習プログラム! 興味を惹かれ2005年、第一期生として参加しました。なお、私は1932年生まれの男性です。

「遊学」期間は4週間でしたが、学校の枠を超えた旅行社主催ならではのアットホームな雰囲気、少人数クラスによるきめ細かな授業、といった特徴がうまく生かされた企画で、ロングステイをエンジョイでき、学習効果も私にとっては充分でしたので、翌年再度参加した次第です。

2. なぜリピートするのか

再度参加した理由は主として次のようなものです。

(1) 効果的な英語の学習

毎回同じカリキュラムを履修することは無意味ではないか。との批判がありました。しかし、これは当を得ていません。もちろんカリキュラム自体もリピーターのための配慮がされているようですし、教室内での授業もさることながら、後述する「実践英語」の学習効果が絶大、現地ならではの成果でしょう。

(2) 人との出会い

私にとって「遊学」の魅力のひとつは、日本人、カナダ人を問わず「人」との出会いです。
まず、参加者との出会い、シニアともなりますとそれぞれ豊富な人生経験者ばかり、打ち解けた会話の中で伺うドラマテイックなストーリー、中には文字通り波乱万丈の人生経験をされてこられた方もあり、自分の生き様に大きな影響を受けました。そして「同じ釜のめし・同じトースターのパン、を食った」得がたい友人として、多くの人との付き合いが始まりました。
次に、現地の人との出会いですが、国際活動が、国、個人のレベルを問わず絶えず拡大する中、異文化間コミュニケーションの重要性が高まり、それによって国際親善が促進されるものと思います。
自分が行っている英語の勉強は、その異文化間コミュニケーションの訓練です。そして、現地の人と出会い、お付き合いすることは、ささやかながら「国際親善」だと考えます。
 「遊学」に参加して、主として、次のような出会いがありました。

(a) 一昨年の参加の際お世話になった現地のスタッフが、同年秋来日し、私の家で5日ばかりホームステイしました。そして昨年「遊学」参加の際、私が先方の家を訪問し歓待を受けました。

(b)「遊学」のアクテイビテイの一環として実施された「カナダ人宅訪問」で訪ねた先の人が画家でした。私も絵をたしなむところから意気投合、私が日本へ帰る時、選別として素敵な水彩画のプレゼントを受けました。

(c)「遊学」参加の度に、バンクーバー美術館(VAG)を2~3度訪問しました、たまたま館の事務の人と知り合い、VAGの変遷などについて話を伺ったほか、私が美術館のボランテイアをしている関係でVAGでのボランテイアの活動のあり方をお聞きしたところ、資料などをいただき親切な説明を受けました。

(3) バンクーバーだから

(a)多文化主義という国策の成果か、人々があたたかくフレドリーで例えば、バスの中や街中で地図でも眺めていようものなら「どこへ行くんだ?」などと話しかけられます。
逆に、こちらから誰にも話しかけやすいムードがあり、日本ではとっくに無くなってしまったやさしい習慣に再会する感じで、たいへん好感が持てました。
「世界一すみやすい街」という2006年10月発表の英エコノミスト誌グループの調査結果は、安全性を含め、ロングステイによって実感できました。

(b) 云うまでも無く自然の豊かさ、美しさ。行くたびに新しい発見があり、絵画、写真などを趣味とする小生など、モチーフに事欠きません。

グランビルアイランドより(1)グランビルアイランドより(1)

グランビルアイランドより(2)グランビルアイランドより(2)

(c) 気候の良さ。
「カナデイアン・カルチュアー遊学」が実施されたのは8月、日本の気候では5月くらいに相当する気候です。
「有病息災」の私にとっては絶好の避暑です。

(d) これはバンクーバーだけではありませんが、単位系に日本と同じメートル法が採用されており、交通標識の認識、ショッピングなどで気を使う必要がありません。温度についても同じです。

3. ステイの場所について

バンクーバーの西端、ポイント・グレー半島の先にあるブリテイッシユ・コロンビア州立大学(UBC)構内の寮に起居しそこから徒歩約2分の教室へ「通学」します。

UBCは、学生数4万5千名を擁するカナダ第3位の総合大学で、うっそうと茂った自然林の中に美しい建物が散在しています。木々のたたずまい、花壇のアレンジの美しさ、地には栗鼠が走り、空には時として白頭鷲が見られ、眼下のイングリッシュベイ越し、遥かに冠雪した高山が眺められます。そんな雰囲気の中、構内を散歩するのはとても楽しいことです。
構内には、国際平和を主張し、国際会議に出席中1933年ビクトリアで客死された新渡戸稲造博士を記念して造られた「新渡戸記念庭園」があります。
また、構内の「文化人類博物館」はカナダで最も大きい教育博物館であり最も人気の高い公立博物館のひとつである由です。
ここの裏から眺める日没の美しさは素晴らしいものです。
7~8月の時期、この周辺には野生のブラックベリーが豊富に実ります。

4. 居住環境について
宿泊施設宿泊施設

(1) バスタブ、トイレ、電話付きの寮の個室に居住します。
パソコンも貸与されますので、故国日本の状況もリアルタイムに知ることが出来ますし、e-メールも可能です。
私は当初、家との連絡にe-メール使用していましたが、電話料金がわが国に比べ非常に安いことから、電話によることとしました。5カナダドルのカードを使用し、毎週1~2回、1回あたり2~3分の通話をしましたが使い切れませんでした。

(2) 常時、救急法資格を持つトワイライト・トラベラー社のスタッフが滞在しており「英語の診断書」を持って参加した私も安心でした。
住居のセキュリテイーは、各部屋はオートロック、寮へは夜間、週末などはキーを持った人以外は入れない仕組みになっていました。

(3) 住居の近くの学生センターには軽食堂をはじめ 郵便局、売店があります。
また、近くに商店街があり、世界各地から来ている学生を対象として各国の食品などが売られており、梅干、海苔など日本のフードにも事欠きません。
日本の量販電器店に相当する店もありました。

(4) 住居から、バスの便が良く、ダウンタウンまで乗り換えなし30分くらいで、バスの路線、回数も多く設定されています。

5. 食事について

食事のたびに、カフエテリアにメニューが示されていましたが、私、全くレシピについては知識が無いため具体的な料理の名前を挙げて説明できないのが残念です。すべてバイキング方式で、特に野菜、果物が豊富に用意されていたのが印象的でした。なお、朝食は週2~3食、日本食でした。

6. 「遊学」プログラムについて

(1)英語について

午前中は英語の授業、午後はアクテイビテイといったスケジュールです。
英語は参加者のレベルにしたがって2~3クラスに分けられます。
なにぶん私は、いわゆる「昭和一桁」の生まれ、受験英語などを全く経験していない世代、参加にあたってまず心配したのが語学力です。しかしそこはそれ、日本語を話される先生のクラスが設定されてあり、杞憂に終わりました。
授業の内容は会話を主とした、ロングステイをする際に必要な会話やバスの乗り方などを含む、いわゆる実用英語。しかしその中には、もちろん必要な文法事項も組み込んでありました。

時々宿題も出されます。これも会話を重視したものが多く、カナダの人にインタビューし、その結果をレポートする形式です。
しかし「遊学」参加2回目となりましても私、如何せん加齢の悲しさ(そのせいだけでもありませんが)英語力はあまり強くなりません。ただし、心臓だけは確実に強くなり、フリータイムにはなるべく外出するよう心がけ、また、休日を利用して近郊へ旅行するなどしてなるべく多くカナダの人と話す機会を持つようにしました。

実践英語といえば聞こえがよろしいが、何のことは無い心臓英語、相手させられるカナダの人も大変ですが、よくご親切に、辛抱強く付き合っていただきました。
もちろんこの背景には聞くも笑い、語るも笑いのエピソードが多数存在するのですが・・・。

(2) アクテイビテイについて

午後のアクテイビテイはバンクーバー市内や周辺の小旅行といった感じで、一般の旅行ツアーでは体験できないものです。
特に印象に残ったものを挙げます。

スクエアダンスグループの皆さんと.スクエアダンスグループの皆さんと.

ゲイパレードゲイパレード

(a) カナダ人宅訪問
ごく一般の家庭、移民してきた人の家庭、元大学教授の家庭、カナダで許されている同性結婚者の家庭、等さまざまな訪問先の家庭環境が用意され、その中からチョイスしましたが「カナダ文化」を直接体験できる貴重な体験でした。

カナダ人お宅訪問カナダ人お宅訪問

(b) フアストネーション居住地
ブリテイッシユ・コロンビア州内のフアストネーションズ、いわゆる先住民の数は全人口の4%に達する由ですが、急速な「カナダ化」に伴いこの人達の文化、生活に大きな変化が起こり問題化しているとのことです。
政府は州内に20ほどの居住地を作り保護しているとのことで、そのうちの一箇所を訪問しました。
居住地内には文化を伝承するため、彼らの言語教育のための学校、民芸品を作る施設などが設置してありました。
トーテムポールに代表される素晴しい芸術作品の制作に特に感動しました。

ファーストネーションの施設ファーストネーションの施設

(c) フオートラングレー国定史跡
バンクーバーの西フオートラングレーにある史跡で、1534年以降の毛皮貿易に始まるバンクーバーの歴史が、金鉱、毛皮加工場、裁判所、鍛冶屋、など当時のままの建造物に、人が居住している形で保存されています。

(d) テーブルマナー教室
 クイーン・エリザベス公園内、バンクーバーのダウンタウウンを一望に見下ろす岡の上、クリントン元アメリカ大統領もお出でになったという由緒あるレストランで、椅子への座り方から女性のエスコートの仕方などを、プロから学びました。
私のごとき「むくつけき賎の男」も国際人ともなれば、最低この程度のマナーは必要なのですね。

(e) 陶器の絵付け
世界に一個しか存在しないアート作品は、自分に対する掛替えのないプレゼントになりました。

7. その他

 以上、私が体験した「カナデイアン・カルチュアー遊学」の概要と感想などですが、参考までにこの「遊学」についての資料を挙げておきます。

(1) 書籍「ロングステイ・バンクーバーすぐ手が届く、夢暮らし」集英社 発行
(2) 「遊学」などの参加者及び会社によるホーム・ページURL
http://www.geocities.jp/cicsncollege/
http://www:twilight-traveler.com

(投稿時期 2007年8月)

暮旅ドットコム© 2006